楽器の風景

 楽器の世界は深い。思い入れのある楽器を紹介していきます。


ハーディ・ガーディ


 Hurdy-Gurdy (wheel fiddle)

 ラ・トゥール「ハーディ・ガーディ弾き」


 ハーディ・ガーディは中世ヨーロッパに起源を持つ、手回しヴァイオリン。西欧、東欧、北欧とヨーロッパ全域に分布する楽器です。
 起源は古く、11世紀ごろから使われ始めた、オルガニストゥルムという楽器が小型化し、ルネサンス期に一般化したものがハーディ・ガーディだと言われています。

  Organistrum  

 音は実に特徴的で、ドローン弦を複数持ちバグパイプのような音を発します。楽器によっては「バズリング・ブリッジ」という騒音を発生させるための駒も付けられており、その場合ドローン弦の音は“耳障り”とも取れる、実に非西欧的な音に変化します(騒音は三味線の「サワリ」を連想させます)。また、鍵盤を使うことも大きな特徴でしょう。弓を使わない分、ヴァイオリンなどの擦弦楽器に比べて、細かい音楽表現の点では劣ります。音色、性質ともにバグパイプと近いですね。ハーディ・ガーディと同じような構造で、弓を使うものがスウェーデンのニッケルハルパです。こちらはまた違った魅力がありますね。

 非常に独特で魅力的な楽器ながらも、ドローン・騒音という和声的に扱いにくい性質を持つことに加え、調弦・整備が極端に難しい、という理由で最近まで事実上消滅していた楽器です。20世紀中葉、アメリカを発端とする民族音楽復興運動の中で、その価値が見直され、現在では民族音楽に限らずなんとJAZZとの融合まで果たしています。

 滋味豊かな音色をどうぞお楽しみください。


Matthew Szostak on Hurdy Gurdy and Bob Lucas on Guitar
 瞑想的なドローン(通奏音)がトリップ効果抜群。




Herr Mannelig
 こんな楽器です。




Anxo Pintos
 この楽器良い音ですねぇ。ハーディ・ガーディは個体差が大きい楽器でもあります。




vielle a roue solo : "ami, mon bel ami"
 ビリビリ鳴ってるのが「バズリング・ブリッジ」の効果です。




Andro - Dual Voice
 超絶技巧ハーディ・ガーディ。バグパイプに似ているというのが良く分かります。




HOW TO: NY ~ HURDY GURDY IS BEAUTIFUL
 やはりこの楽器は戸外演奏が似合う。




Brook Symphony Hurdy Gurdy
 このような箱型の楽器もあります。




Rao Trio, El Sueter de Claudia
 驚愕のハーディ・ガーディ・ジャズ・ロック。かっこいい…。








購入者希望者向け情報

 扱いの難しさから、初心者にはオススメできない楽器の一つ。こちらのサイトの「ハーディ・ガーディについて」を読んでから購入を決心しましょう。具体的な奏法などは「Vielleux in Thailand」が参考になるかと思います。取り扱っている店舗は少ないですが、キット、完成品はこちらで買えるようです。




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