楽器の風景

 楽器の世界は深い。思い入れのある楽器を紹介していきます。


カホン

Cajon


 裏には鳥の巣と見まごう丸い穴が開いています。



 カホンは最近もっぱら人気が出てきた楽器ですね。どこかで見たことがある人は多いはずです。カホンは元来ペルーの楽器で、Cajonはスペイン語で「箱」を意味します。「箱」ってあんた、そのまんまですね、Cajonと書いて「箱」と読む。うーん実に潔い。
 この楽器はペルーに運ばれた黒人奴隷たちが、太鼓の代わりに積荷用の箱や家具を叩いたことが起源とされています。スティールパンと似ていますね。打楽器にかける黒人のパワーはすさまじい。この楽器が現在のようにフラメンコで使われるのようになったのは、パコ・デ・ルシアの功績です。スペインの楽器と勘違いしている方は多いですが、起源はあくまでペルーにあります
 音色はドラムセットのバスドラム、スネアドラムの音にとても似ています。マイクを付けて演奏すればほとんどドラムと区別が付かないほど。打面の裏側にギターの弦などが張ってあり、それが振動してスネアドラムのような音を発します。スネアドラムでいうスナッピーが付いているんですね。真ん中のほうを叩くと木箱とは思えない、質の良い低音が出ます。製作する際に打面の端を意図的に少々浮かせている楽器では、端を叩くことによってパチン!という音を出すことが出来ます。
 新しい楽器のため奏法は特に決まっておらず、“なんでもあり”です。それゆえソロ楽器として用いるときは、カホンをどのように叩くかで、その奏者のセンスが分かってしまいます。コンガの奏法を使ってみたり、スティックやブラシ、マレットで叩いたり、足首に鈴を付けてみたり、ハイハットを同時に踏んでみたり、笛を吹きながら叩いてみたり……楽器や奏法の組み合わせはほぼ無限に存在すると言ってよいでしょう。

 カホンは構造上の工夫がしやすい楽器でして、様々な形態があります。


 YAMAHAカホン

 折りたたみ式カホン

 ミニカホン(手前)

 多機能カホン、Gigpig。欲しい…。




Jen's Meinl Pick Up Cajon
 綺麗なおねえさんによる楽器解説。女性カホン奏者って色っぽくて良いですよね。




Jen Lowe and the Meinl Bass Pedal Cajon

 同じく綺麗なおねえさんによる演奏デモンストレーション。ワイヤブラシを取り入れています。




David Kuckhermann - The Cajon
 超絶技巧フレームドラム奏者、David Kuckhermann。カホンでロール。そんなアホンな。




Martin Roettger plays Cajon
 この楽器良い音色ですねぇ。




Batá-Cajón Valter Percussion
 アフリカ起源のキューバの楽器、バタ・ドラムをアレンジした、バタ・カホン。




Octa-Cajón "Bahia-Beat"
 縦型カホン。プレイウッドからカホンガという製品が出ていますね。




Boombakini by Felle Vega
 Felle Vegaによる創作楽器。カホンの一種と考えて良いでしょう。




Paco de Lucia flamenco guitar
 パコ・デ・ルシアとカホン2台。巧いッ。




Cuatro Tiempos Negros Jovenes
 スパニッシュ・ギターとカホン。




Jake Shimabukuro (ukulele) Feat Djaloyan Sylvain (Cajon)
 これは面白い。ジェイク・シマブクロの名演に合わせてカホンを多重録音。




Hang and Cajon Jam
 ハング・ドラムとカホンを同時演奏。




購入者希望者向け情報

 通常タイプのカホンなら15,000~20,000円、高めのモデルでも50,000円程度の予算を見積もっておけば間違いなく購入できるでしょう。今やどこの楽器屋にも置いてある楽器なので説明は不要でしょう。楽器・メーカーによってかなり個体差があるので情報収集や試奏は重要です。スネア音の“感度”を重視して楽器選びをすると良いかと思います。感度の悪い楽器では、音量がピアノになるとどうしても思うような音が出せません。軽く触っただけでスネア音がしてしまう、ぐらいの楽器が理想でしょう。

 また自作も可能です。「カホン 自作」で検索すれば参考に出来るサイトが多く見つかるでしょう。




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