楽器の風景

 楽器の世界は深い。思い入れのある楽器を紹介していきます。


グラスハープ / アルモニカ


 Glass Harp


 グラスハープはゴブレット型のグラスのふちを、水でぬらした指でなぞって音を出す楽器。ワイングラスがあれば今すぐにでも出来ます。水を入れると音程が変わります。演奏の際には上の写真のようにたくさん並べて演奏します。メンテナンスやセッティングが実に面倒な楽器でもあります。演奏家が少ないのはこの理由が大きいでしょう(多分)。
 楽器の起源は相当昔に遡るようで、例えば同種の楽器ではチベット仏教の宝具で「シンギング・ボウル」なんてものがあります。摩擦ことによって微振動を生じさせ、発音させます。いわゆる「グラスハープ」は18世紀中葉に現在の形が整ったとされています。

 Singing Bowl



 Armonica


 そしてベンジャンミン・フランクリンが1761年に発明した楽器が、この「アルモニカ」。原理はグラスハープと同じで、かつ合理化され表現力が高まっています。チャイコフスキーの「白鳥の湖」の「金平糖の精の踊り」など、この楽器のために書かれた曲は複数存在します。

 グラスハープやアルモニカの魅力は、チェレスタやパイプオルガンにも似た天上的な音色です。音色の“荒さ”は一見パンパイプ的でもあります。この魔力めいた魅力を持った音色には、様々なエピソードがあります。以下Wikipediaの項目(全文はこちら)より抜粋。

 練習や演奏に熱中した多くの人が、アルモニカのせいで神経障害や鬱病、目まい、筋肉の痙攣などに罹ったと言い出した。このため、アルモニカはその美しい音色とは裏腹に大変怖い楽器だという噂が口々に伝わって、人々の恐怖感が煽り立てられた。実際に、精神病院に入院したり夭折した者もいたが、それがますます根拠のない憶測を招き、えも言われぬ甲高い響きが死者の魂を呼び寄せて神秘的な力を宿らせたとか、聞いた人の頭をかき乱しておかしくしたと口々に言い始めるようになってしまった。更には演奏会場で子供が死亡するという事件まで発生してしまい、その事件をきっかけに、ドイツのあちこちの地方で警察当局が全面的にアルモニカ演奏の禁止令を発令するまでに発展した。(中略)

 この後、この楽器はすっかりと姿を消してしまったが、後に復興されてから現在に至るまで、多くの人々や演奏家がこの楽器を奏してきた。にもかかわらず、この楽器のせいで精神などをおかしくしたという症例が現代医学の世界に報告されたり、それを証明したという発表はいまだなされていない。現に、アルモニカ発明者本人でさえ、この楽器の無害を自ら証明するために、世評に動じず生涯演奏し続けたが、何事もなく84歳までの長寿を全うしたのであった。現代においては、その不思議な音色ゆえに、真相が不明なままの怪奇な伝説さえもこの楽器のひとつの逆説的な魅力として、世界の人々の興味を強く惹きつけている。



 いやーなんて魅力的な!
 私は自宅でワインを飲むと、必ず飲み終わったグラスを風呂場に持っていって入浴します。ワインの楽しみも広がりますしオススメです。

 アルモニカについては我らがNAXOSからCDが出ているので是非。


参考:
 アルモニカ - Wikipedia
 グラス・ハープ - Wikipedia


Glass Music




Wine Glass Music




Glass Harp




GLASS DUO ensemble - music from wine glasses (glass harp)




wine glass music in venice
 垂直管の楽器は変形グラスハープ。「ベロフォーン」と呼ばれることもあるようです。




Crystal Glass Symphonic Street Performers




Vienna Austria Street Musician Playing Water Glasses
 超絶技巧!ビブラートかけてます!




'Venus' on the Glass Armonica in Hong Kong
 William Zeitler氏の演奏。公式サイトには演奏動画やmp3などがあります。





"Dance of the Sugar Plum Fairy" on the Glass Armonica
 同じくWilliam Zeitler氏。「金平糖の精の踊り」アルモニカの演奏。






購入者希望者向け情報

 個人的にアンサンブルなどで使用した時は100円均一のグラスで十分演奏できました。しかし低音用の大型グラスは100円均一には無いので、それなりの値段を出さないと購入できません。基本的にグラス自体の質は関係ないので、出来る限り安いものを探すのが良いでしょう。
 アルモニカに関しては、廃れてしまった楽器なのであまり情報がありません。唯一アルモニカを製造していると思われるG.Finkenbeiner社での価格は$7,165〜となっています。たっけぇ…。詳しい価格表は連絡をすれば見積もりを送ってくれるようです。この値段で買うぐらいだったら自分で作ったほうが良いような…。




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