楽器の風景

 楽器の世界は深い。思い入れのある楽器を紹介していきます。


オーバートーン・フルート (コンチョーヴカ)


 Koncovka


 Fujara





 オーバートーン・フルート(Overtone Flute)は主に東欧〜ロシア地域に分布する、笛の一種の総称。代表的なものに、スロヴァキアのコンチョーヴカ(英語風にコンコフカとも発音します)、フヤラ、ロシアのカリューカ(kalyuka)、スカンディナヴィア半島のウィロウ・フルート(Willow Fluteは総称です、細かい名称はこちら)などがあります。

 その名の通り、オーバートーン、すなわち倍音を含むことが特徴です。構造的にとても単純で、言ってしまえばただの筒です。コンチョーヴカなどは指穴は一つもありません。巨大なフヤラですら3つです。
 と言うことは自作もかなり簡単でして、実際に手ごろに買える材料で作ることが出来ます。


「3分で出来るPVCオーバートーン・フルートの作り方」


基本的には上の動画をそのままなぞれば作ることが出来ますが、私も一本作ったので簡単な日本語解説を掲載しておきましょう。興味がある人だけご覧ください。

 材料はPVCの筒と木の棒です。筒の大きさは 全長:内径 の比が 50〜55:1 程度が良いようです。長さは80cmぐらいが丁度いいので、内径は15〜18mmのものが適当でしょう。厚みは1.5〜2mmぐらいがベスト。…とはいえこれはあくまで目安なので、あまりシビアになる必要はありません。私の楽器も内径22mm、全長80cmと、前述の比から多少ズレてしまっていますが、十分鳴ってくれています。ただし、息の通り道になるので、ある程度の厚みがあることは大事です。また、PVCではなくABSなどの樹脂でも大丈夫です。

以下作り方。

1.パイプの上部を3cm切り、スパッと一本切れ目を入れる
2.木の棒をノコギリで3cmに切る
3.パイプの端から約4cmのあたりに約8mmの穴を開ける
4.動画のように穴を基点にパイプを切り取る(これが息の通り道になります)
5.穴をシャープに整える(鋭ければ鋭いほど良いようです)
6.先ほど木で作ったプラグの角を約45度に整える(動画のように全ての角を取らないでも大丈夫です)
7.プラグをねじ込む(整えた角を穴に合わせます)
8.切り取ったパイプを上からはめ込む


 工具としてノコギリはあると良いでしょう。ミュージカル・ソーが大活躍しました。

 中央が自作オーバートーン・フルートです。





Koncovka (Slovakian overtone flute)
 スロヴァキアのコンチョーヴカ。




Fujara
 スロヴァキアのフヤラ。豊富な倍音です。ディジュリドゥーなんかとちょっと近い音色ですね。定義から言えばあれもオーバートーン・フルートの一種でしょうね。




Russian overtone flute kalyuka
 ロシアのカリューカ。




4TH RACE trio: "Twisted Dance"
 同じくカリューカのバンド演奏。パーカッションは超絶技巧フレームドラム奏者David Kuckhermann。




Overtoneflute (willow-flute)
 スウェーデンのウィロウ・フルート。良いメロディですねぇ。




Solo on frame drum and overtone flute
 フレームドラムとオーバートーン・フルートを同時に。




3 instruments simultaneously (Two overtone flutes & Udu)
 二本のオーバートーン・フルートとウドゥを同時に!






購入者希望者向け情報

 カリューヤ、コンチョーヴカ、フラヤなどは楽器屋では見かけることが出来ない楽器です。国内では取り扱っている店舗はほとんど無いですが、海外からならネット通販で買うことが出来ます。
 オーバートーン・フルートはリコーダーメーカーで知られる、スウェーデンのアウリスから商品が発売されています(リンクはこちら)。どんな音かは残念ながら不明です。
 本格的にやりたい方以外は、1,000円程度で作れますし、やはり自作がオススメです。




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