楽器の風景

 楽器の世界は深い。思い入れのある楽器を紹介していきます。


人間の声





 楽器を広く「音を奏でることが出来る物体」と定義すれば、人間もまた楽器であり、その声もまた楽器によって発生させられる音です。
 音楽の起源には諸説ありますが、かけ声であったり、呪文であったり、言語アクセントであったり、いずれにせよ声というものが、我々人類が最初に奏でた“楽器”であることは間違いがなさそうです。
 最も長い歴史を持つ楽器、人間の声。現在に至るまで非常に多様な表現が試みられ、信じられない技巧が世界中に多数実践されています。このページでどうぞ肉声芸術の片鱗に触れてみてください。



The Queen of the Night - The great Luciana Serra
 ベルカント唱法と呼ばれる歌唱法。最高レベルのソプラノはフルートのように美しい音色を奏でることが出来ます。




Heart Sutra Chanting
 こちらはチベット仏教の声明に見られる歌唱法。ベルカント唱法におけるバスの最低音E(ミ)より5度低い、A(ラ)を発声することが出来ます。この動画は一人ですが、複数の僧侶が一度に詠唱すると場は圧倒的な音響空間に包まれます。声を通じて悟りの世界を体現するんですね。この驚異的な低音を獲得するために、僧侶たちは毎日滝に向かって大声で叫び喉を鍛えるそうです。素晴らしい芸術です。




Le Mystere des voix Bulgares - Bulgarian choir 3 songs
 ブルガリアの女声合唱2本。クラシック音楽とは違った和音体系を持っています。






Chirgilchin - Mongun-ool Solo
 トゥヴァのホーメイ(喉声)。モンゴルのホーミーとほぼ同じものです。喉で倍音を発生させ、一人で2つの音を奏でる技法です。笛のような高音にご注目ください。動画の中盤からは低音ホーミーを聴くことが出来ます。ホーミーはチベット仏教の声明同様、相当喉が強くないと出来ません。体に負担がかかる歌唱法なので、ホーミー奏者に早死にが多いとか…。




Legend (Pusta Mladost)
 トゥヴァのホーメイとブルガリア合唱のコラボレーション。




Georgian folk song.
 グルジアの男声合唱もまた素晴らしい民族音楽です。張りのある声と金属のような特殊な和音。あまり聴かれることはありませんが素晴らしいものです。




The 'Kechak' Performance
 “声絵巻”と呼ばれるバリ島のケチャ。意外ですが、ケチャの歴史は比較的新しく、しかも西洋人の発案によって完成されたものだったりします。




Zauerli and Jodel - Swiss traditional folk singing 1/2
 ヨーデルも忘れてはいけません。美しいヨーデルと楽しいヨーデル、二本どうぞ。






Georgia Brown's High Notes
 少し趣向を変えて、世界一音域が広い女性の歌声。シンセサイザーですか…。




Vitas
 こちらは男声による超高音。動画集はこちら。女性ソプラノと同様の声域を持つ稀有な男性をソプラニスタとも言うそうです。




Edson Cordeiro - Naturtrane
 ブラジルのソプラニスタ、エドソン・コルデイロの演奏。




Alessandro Moreschi, the last Castrato voice
 西洋では声変わりを防ぐために、少年の男性器を切除して、ソプラノの音域を維持するということが行われていました。そうした、去勢された奏者はカストラートと呼ばれます。
 1922年に死去した「最後のカストラート」アレッサンドロ・モレスキの演奏。人間の凄まじいまでの音楽への執念をどうぞ…。




amazing human beatbox
 ヒューマン・ビートボックス。人間の声とは思えませんねぇ。




Bobby McFerrin - Concert Solo
 ヒューマン・ビートボックスの元祖、ボビー・マクフェリンによるライブ・パフォーマンス。体一つとマイク一本で人間はここまで出来ます。




Sonata Erotica door Quirine Melssen
 肉声芸術の射程はこんなとこまで。シュールホフ作曲の「ソナタ・エロティカ」




Gregorian Chant Benedictinos
 最古のクラシック音楽、グレゴリオ聖歌で邪念を浄化。




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