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WEB美術展
シュルレアリスムを中心に好きな美術を紹介。
ヤン・シュヴァンクマイエル Jan Švankmajer
シュヴァンクマイエル(1934-)はチェコの芸術家。「最後のシュルレアリスト」とも呼ばれ、シュルレアリスムを継承するキッチュでグロテスクな作品を製作しています。特に映画作品が有名。妻、エヴァ・シュヴァンクマイロヴァーと共に創作活動を行っています。以下にYouTubeに流れている映像を集めました。低画質ながら、シュヴァンクマイエルの面白さの片鱗を味わえるかと思います。
1965年 「石のゲーム」
シュヴァンクマイエル31歳の時の作品。映像作品としては第3作目。ストップモーションの実験映画といった風情。“食”への執着はこの段階から既に見られます。
1966年 「棺の家」
人形劇。シュヴァンクマイエルの芸術家としての主なキャリアは、まず人形劇作家としてスタートしました。
1966年 「エトセトラ」
フロッタージュの手法を使ったアニメーション。
1970年 「コストニチェ(納骨堂)」
実在するチェコの骸骨教会「コストニチェ」を題材にした映像作品。いかにもシュヴァンクマイエル好みですね。一度訪れてみたい。
1970年 「ドン・ファン」
人形劇。「ドン・ファン」はシュヴァンクマイエルが若き日に作品上演の準備をするも、結局実現されなかったという、いわくつきの作品です。
1971年 「ジャバウォッキー」
「鏡の国のアリス」に登場するナンセンス詩「ジャバウォッキー」を題材にした映画。オープニングからそそられます。
1968年の「プラハの春」以降、当局の規制は強化され、1973年にシュヴァンクマイエルは当局から映画製作を禁止されました。その間は主にシュルレアリストグループで「触覚」の研究を行いました。
1979年にようやく禁止措置が解かれ、1980年に映画製作を再開しました。
1979年 「オトラントの城」
1980年 映画「アッシャー家の崩壊」より
原作はエドガー・アラン・ポー。
1982年 「対話の可能性」
モノで作られた人間の顔は、アルチンボルドへのオマージュでしょう。1973年の連作絵画「自然」の中でもオマージュが捧げられています。アルチンボルドのようなマニエリスム的なものは、シュヴァンクマイエル作品の中にはしばしば観察できます。
クレイアニメの傑作。
1987年 映画「アリス」
「ファウスト」と並び代表作とされる作品。シュヴァンクマイエルの世界観が題材に完璧にマッチしています。子供の頃感じた、不安や謎を追体験できます。これぞシュルレアリスム。
トランプやキング、クイーンの絵は妻エヴァによるもの。(なんて夫婦だ!)
1989年 「闇・光・闇」
短編作品。ナンセンスでグロテスク。他の作品にも言えますが、音が生理的に嫌ですね。
1990年 「スターリン主義の死」
皮肉めいた、政治的なニュアンスを持つ作品。冷戦時代の終焉の記念碑的作品…にしては皮肉が効きすぎてますね。シュヴァンクマイエル自身当局から圧力を受けましたし、やはり恨みがあったのでしょうか。
1992年 映画「フード」
妙な笑いを誘います。ここら辺のセンスが好きなら、映画「悦楽共犯者」が物凄くオススメ。
朝食
昼食
夕食
2000年 「オテサーネク」(予告編)
シュヴァンクマイエルの傑作ホラー。難解さは皆無、文句なしに素晴らしい作品です。
2006年 「ルナシー」
精神病棟で繰り広げられる「哲学的ホラー」。一見脈絡の無い、ストップモーションによる肉の映像がメタファーとして機能しています。素晴らしい。
やはりYouTubeでは画質・音質ともに満足がいきませんね。是非劇場やDVDで観て欲しい作品です。あまり出回っていない上に、ちょっと高いですが買う価値はあるかと思います。
こちらはYouTubeに投稿された、音楽コラージュ作品。ロシアの作曲家ウストヴォーリスカヤの「怒りの日」がBGMとして用いられています。うーんなかなか合ってる。