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マーラーに関する書籍


 参考文献。


マーラー
村井 翔 著




 マーラー入門に相応しい名著。マーラーの人生に触れる生涯編はもちろんのこと、譜例も豊富な交響曲解説(2番、8番を除く)は巨大なマーラー作品の理解に頼れるガイドとなります。ページ数の都合とはいえ、第2番、8番を比較的軽視し、クックの全曲版10番を高く評価している審美眼には思わずニヤリ。新時代のマーラー本。


作曲家別名曲解説ライブラリー@ マーラー
音楽の友社




 村井氏などの研究に比べて精度が甘い箇所もちらほら見受けられますが、豊富な譜例が嬉しいマーラー入門書。嘆きの歌や歌曲作品にも譜例付きで触れています。こういった作品に触れているマーラー本は実は少ない。


マーラー―音楽観相学
テオドール・W. アドルノ (著), 龍村 あや子 (翻訳)



 マーラー研究の古典。著者のアドルノは哲学者でもあるので、その思想と、なにより言葉が難解です。哲学用語が頻繁に出てくるのでアレルギーがある方は読むのに苦労するかと思います。が、美しい形容と深く鋭い考察は、他の書籍に増して、マーラー作品の理解に役立つことでしょう。ちょっと高価(3150円)なので、マーラー研究を本格的にやりたい方以外は図書館などで借りて読むのがベスト。古典ゆえに、多くの重要な部分は他の研究者がすでに噛み砕いて説明してくれていますし。叢書ウニベルシタスなので大き目の図書館なら置いてあるかと思います。


マーラーとヒトラー―生の歌 死の歌
桜井 健二 (著)


 ヒトラー青年期、ヒトラーの台頭していた時代、戦後、などに分けて、マーラー作品がどのように扱われていたかを紹介。マーラー作品の音楽的分析に触れている本ではないです。極度に専門的でなく、平易な文章で興味深く書いてあります。メルゲンベルク、ワルター、フルトヴェングラー、カラヤン、バーンスタインなどの指揮者のエピソードは興味深い。


グスタフ・マーラー―その人と芸術、そして時代
ヘルムート キューン (編集), ゲオルク クヴァンダー (編集), 岩下 真好 (翻訳)


 マーラー資料集。定価8500円と高額ですが内容は非常に充実しています。前半は論文集、後半は作品解説インタヴューからなっています。シノーポリ、ギーレン、ヴィスコンティへのインタヴューはなかなか面白い。豊富な挿絵も所有欲を満たしてくれます。


マーラーと世紀末ウィーン
渡辺 裕 (著)



 マーラーの生きた世紀末ウィーンに注目し、マーラー作品の性質を分析しています。世紀末ウィーンを知ることはマーラーの理解に大きく役立ちます。芸術運動との関連で捉える視点は音楽学者には無いものです。基本的に新書なのでサクサク読めるつくりになっています。最後の章の統計的分析には圧倒されました。


異邦人マーラー
ヘンリー・A・リー(著) 渡辺 裕 (訳)


 マーラーの「マージナル・マン」としての側面に注目した詳細な伝記と作品解説。民謡に注目した解説は斬新で説得力のあるもの。こちらも平易な言葉で書いてあるので、入門書に相応しい。


マーラー
ヴォルフガング シュライバー (著), 岩下 真好 (翻訳)


 伝記と作品解説からなっています。ごく標準的なマーラー入門書。

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