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マイナークラシックの深淵


旧ソ連作曲家を中心にマイナークラシックの深淵に引きずりこみマスッ!


カンチェリ:小さなダネリアーデ

マイナー度:★★★★★
名曲度:★★★★★

 知っている人はほとんどいないはず。かく言う私もYouTubeで発見しなければ一生知ることはなかったであろう曲です。名曲度はMAXとさせていただきました。文句なしに楽しい傑作です。
 ギヤ・カンチェリ(1935~)はグルジアの作曲家。一般的には交響曲の作曲家として知られています。打楽器・金管楽器の使用法は心底凄まじく、大変な爆裂作曲家でもあります。
 一方でカンチェリは映画音楽も作曲しており、知る人ぞ知るナンセンスSF・カルト映画「不思議惑星キン・ザ・ザ」の音楽を担当しています。この映画は「クー!」という台詞が(ごく一部で)とても有名。
 今回紹介する「小さなダネリアーデ」は、恐らくカンチェリがジョークで作曲した作品なのでしょう、なんと至るところでクークー言ってます。映画を観た方は爆笑必至。勿論、映画を観ていない人も絶対に楽しめる、ユーモラスで甘美でヘンテコな、素晴らしい作品です。
 *Daneliadeはカンチェリの造語なのか、調べても単語の意味が分かりませんでした。ここではイタリア語風にダネリアーデと表記しました。意味を知っている方はご一報ください。


クラム:弦楽四重奏曲「黒天使」

マイナー度:★☆☆☆☆
名曲度:★★★☆☆

 ジョージ・クラム(1929~)はアメリカの作曲家。本作は現代音楽畑ではそこそこ有名な曲なのでマイナー度は星一つ。
 なにせタイトルがカッコいい!原題はそのまま「Black Angels」です、あんたらどこのビジュアル系ですか。3楽章形式で「Departure」「Absence」「Return」というタイトルがそれぞれ付けられています。黒天使たちが、行って、いなくなって、戻ってくるんです。
 内容は前衛音楽もいいとこで、弦楽四重奏の体裁を一応取っていますがグラスハープも使いますし打楽器も叩きますし弦の音を電気増幅もしたりします。第3楽章では日本語が登場し、「いち、に、さん、し、ご、ろく」と唱え、最後に「じゅうさん(13)」とつぶやいて曲が終わります。13は不吉な数ですからね。なかなかいっちゃってますが、曲は素直に面白いです。一聴の価値あり。


ルー・ハリソン:ラ・コロ・スートロ(般若心経)

マイナー度:★★★★☆
名曲度:★★★☆☆

 ルー・ハリソン(1917-2003)は民族音楽とクラシックを融合させたアメリカの作曲家。存命中は指揮者としても活躍し、アイヴスの交響曲第3番を初演し、アイヴスと共にピュリッツァー賞を受賞しています。ハリソンはゲイであり、またゲイの作曲家であることを自ら誇りに思っていたそうで、ゲイの男声合唱団のための作品も複数残しています。政治的にも敏感な作曲家であり、平和主義(パシフィズム)を唱えていました。彼の作品にはしばしばエスペラント語が使われます。
 様々な興味深い作品を残したハリソンですが、特にアメリカン・ガムラン(アメリカ風にアレンジされたガムラン)の作品が有名です。この「ラ・コロ・スートロ(La Koro Sutro)」もアメリカン・ガムランを用いた作品です。タイトルは英訳すれば「The Heart Sutra」すなわちそのまま「般若心経」。しかもテキストはエスペラント語ガムラン+般若心経+エスペラント語、うーん色々とおかしい気もしますが、大変面白そうではあります。そして実際かなり面白い。合唱が加わる場面はガムラン風キリスト教音楽、と言った感触。民族音楽好き垂涎です。
 そんな作品は米Amazonで試聴出来ます。不思議な音楽世界をどうぞお楽しみください。CDはこちら


リゲティ:100台のメトロノームのためのポエム・シンフォニク

マイナー度:★☆☆☆☆
名曲度:★☆☆☆☆(?)

 現代音楽の大家、ジェルジ・リゲティ(1923-2006)の代表作の一つ。100台のメトロノームを使う、なんてほとんど冗談音楽の世界なんですが、現代音楽における重要な理論である「クラスター音楽(トーン・クラスター)」を理解するのには打ってつけの作品でもあります。
 クラスター音楽とは、色々小難しい話はありますが、簡単に言えば音を「集積(クラスター)として捉える作曲技法です。革新的な点は、調性、和音、リズムといった概念に囚われないこと。この技法は例えて言うなら、ちょうどピカソがキュビスムで従来の絵画の概念を打ち破ったことに照応します(やや言いすぎの感もありますが)。トーン・クラスターが発明されて以降、音楽には、従来の「調性」や「和音」「旋法」といった概念だけでなく、「密度」という概念・パラメータが明確に加わりました。現在に至るまで「クラスター」の概念を利用した様々な作品が発表されています。なんぞメトロノームがカチカチ言ってるだけの五月蝿い音楽ですが、と、まぁそういったバックグラウンドを持つ作品です。




「2001年宇宙の旅」でも使われた、リゲティの代表作「レクイエム」。こちらもトーン・クラスターの技法を使用しています。




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