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民族音楽を聴くッ!


チベット:チベット仏教の聲明


 滝に向かってひたすら叫ぶ修行をすると出せるようになるという低音が驚愕。実にA(ラ)まで下がります。バリトンの最低音がE(ミ)ですから、ラシドレミ、と5音も離れています。このぐらいの低音になると、口腔・喉の中で発生する倍音が凄く良く聞こえます。その倍音がまさに涅槃の音!脳みその中心まで響いてくる、他の音楽じゃありえない種類の響きです。これはヘッドホンをして聴くべき。
 詠唱が落ち着くとチベットホルンが暴れまくる!怪獣映画でも観てるような気分。ゴングやシンバルもジャンジャン鳴ってます。アイヴスもびっくりのすさまじい爆裂。落ち着くとまた詠唱が始まります。
 誇張なしに、聴くだけで涅槃を体験できます。最高峰の宗教音楽。

チベット密教〜聲明の驚愕

超推薦盤。倍音までしっかり集音出来ています。



Tibetan Buddhism: Ritual Orchestra & Chants

ノンサッチから。2曲目の雰囲気が異様。管楽器の狂気めいた音響が鳥肌モノです。野外録音特有の鳥の声がまた良いスパイス。チュンチュンってあんた。



チベット仏教の音楽 炸裂の曼陀羅

「ヴァジュラバハイラヴァ成就降魔」という召還魔法みたいな曲が入っています。かなり読経といった要素が強いです。倍音を楽しむなら他の盤の方が良いでしょう。楽器がかなりうるさいのは録音バランスの問題なのか。ビックリします。



こんな感じです。しかしこればっかりは是非CDの音質で。

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パキスタン(スーフィズム):カッワーリー


 高木ブー似のヌスラット・ファテ・アリ・ハーンが作り出す法悦(Ecstasy)の音楽世界。イスラム教においては音楽は基本的にダメなんですが、スーフィー教徒に関しては例外です。この盤のような音楽を聴きながら、彼らは回転し、神の世界へと到達しようと試みるのです。
 とにかく高揚感がヤバイ!中毒性のあるメロディ、リズムが終盤に向けて徐々に徐々にドライブしていきます。ヌスラットの添える即興ヴォーカルが高揚感を煽る!これはロックといっても過言ではないです。

カッワーリーはこんな感じ。


Amazon.co.jp


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トリニダード・トバゴ:スティールパン



 スティールドラムの名でも知られる、カリブ海の黒人奴隷たちが作り出した楽器です。トーキング・ドラムという楽器があるように、楽器音は伝令・言葉としても使えます。白人たちは意思疎通による暴動を恐れ、黒人奴隷から楽器を取り上げました。楽器を叩きたい欲求に駆られた奴隷たちは、仕方なく作業場に置いてあるドラム缶を叩いた…というのがこの魅力ある楽器の起源です。私は打楽器奏者なので気持ちが良く分かります。料理していて手が空くと、つい菜ばしで鍋を叩いてしまうあの情動ですね。

 異国情緒溢れる、はじける爽快な音色が、たくさんの愛好家を生んでいます。落ち込んだ時はスティールパンに限りますね。


Steel Pan - Trinidad & Tobago
 本場、トリニダード・トバゴでの演奏。



Chick Corea Spain - Guppy on Steel pan
 チック・コリアの「スペイン」。



Pan In A Minor by Steel Pan Lovers Finland
 フィンランドの愛好家サークルの演奏。音楽は国境を越える!




スティール・オーケストラ

オススメの盤はこちら。演奏はエクソダス・スティールバンド。



 ちなみにこの楽器、あなどるなかれ、かなり高額な楽器です。スティールパンから派生した現代楽器、ハングもまた魅力的な楽器。

PanArt Hang for Millman




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ロシア:ロシア民謡

 演歌を連想させるほど“クサい”叙情性があったり、思わず口ずさんでしまう軍歌風の旋律だったり、ロシア民謡には歌謡音楽として大変魅力的なものがあります。

ポーリュシュカ・ポーレ(Polyushko Polye)
 タイトルの意味は「草原よ、草原よ」。歌詞・対訳はこちら。クラシック作曲家としても知られるレフ・クニッペルの作品であることは意外と知られていない事実。



ステンカ・ラージン(スチェパン・ラージン)

 ロシアの英雄として名高いスチェパン・ラージンを歌った名曲。歌詞はこちら






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アルメニア:アルメニア聖歌

 バッハなどのいわゆる「聖歌」はグレゴリオ聖歌から派生した西洋の聖歌でして、実際には東方系の聖歌など、西洋的でない聖歌も複数存在します。(参考サイト:聖歌の変遷
 アルメニア聖歌も現存する東方教会系聖歌の一つ。ドローン(通奏音)の使用とイスラム風の節回しが神秘的な“異端の”聖歌です。異才・ハチャトゥリヤンを生んだアルメニアの音楽的土壌の特殊性を感じさせます。












 お聴きのように、西洋音楽に耳慣れた我々にはとても不思議な響きに聴こえます。畏怖すら感じさせますね。


オススメのCDはアルメニア音楽の粋~聖歌からドゥドゥックまで。聖歌、民族楽器がバランスよく収録されています。


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トゥヴァ共和国:ホーメイ

 民族音楽愛好家でないかぎり生涯知ることのない国であろうトゥヴァ共和国には、「ホーメイ」という素晴らしい音楽が存在します。ここでピンと来ればあなたも一流のミンゾクオンガクスキー、そうです「ホーメイ」はモンゴルの「ホーミー」と同じ、中央アジア特有の倍音唱法の一種です。ホーミーとの違いは、ホーメイが歌詞を持った歌の中で合いの手のように使われる点にあります。ホーミーが器楽的だとしたら、ホーメイは歌唱的、といったような程度違いです。
 …という曖昧な書き方をしたのは、実のところホーメイとホーミーはあまり違いがないからです。ホーメイっぽいホーミーもあれば、ホーミーっぽいホーメイもある。あたまがこんがらがりそうです。「ホーメイ」が差別化されているのは、音楽の性質と言うよりは、むしろトゥヴァ共和国のアンサンブル「フーン・フール・トゥ(HUUN-HUUR-TU)」の存在によるところが大きいでしょう。彼らはブルガリア合唱との共演や、各国への演奏ツアーを行うなど、精力的に活動しているアンサンブルです。まぁ御託はさておき、圧倒的な歌唱をどうぞお楽しみください。



Legend (Pusta Mladost)
 本当はちょっと邪道なんですが、まずはブルガリア合唱との共演をどうぞ。チベット仏教の声明に通ずる「カルグラ」と呼ばれる超低音に乗せて、ブルガリア合唱の神秘的な響きが加わります。超低音の中にかすかに響いている高音倍音が宇宙的な音響空間を作り出しています。是非ともこれはCD音質でアルバム「Fly, Fly, My Sadness」に収録されています。




Huun Huur Tu at Philadelphia Folk Festival, August 2006
 ホーメイソロ。倍音に注目。




Tuvan Throat Singing - Tuva Turks Song
 この倍音コントロール!



Paul Pena & Kongar-ol Ondar in Tuva
 カルグラも加わっています。



Huun Huur Tu at Philadelphia Folk Festival, Aug 2006
 フーン・フール・トゥのアンサンブル。




 ちなみにトゥヴァ共和国の位置



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日本:雅楽


 日本人なら説明は要らないでしょう。この時間感覚!他にはないです。
 こうやって聞き比べてみると、いかに日本の音楽が特殊なものかが良く分かります。神々しい音色の「笙」が特徴的。


雅楽:越天楽



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ベトナム:雅楽(ニャニャク)


 日本の「雅楽」とベトナムの「雅楽(ニャニャク)」、文字通り同起源で、ともに中国の宮廷音楽から派生した音楽です。
 なんですが、どうですかこの違いときたら!一説によれば日本の雅楽は、中国から伝わってきた様式をほとんどそのまま継承しているそうです。それに対して中国やベトナムの「雅楽」は、王朝の変遷とともに変化していき、今では古来の雅楽の姿は完全に失われてしまっているようです。島国であり、政体の変化に乏しかった日本の特殊性というものが良く分かるエピソードです。

Nha nhac cung dinh Hue(フエ宮廷雅楽)




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ドラティ@ミネアポリス響

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